Archive for the ‘従軍小説’ Category

内地へよろしく

2015-07-30
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●レビュー

海軍報道班として南洋を訪れた画家久松三十郎の目を通してみた、戦地や内地の区別なく実直で真摯な人たち、命を惜しまず人に尽くす人たち。
そこでは、戦時下の日常が淡々と描かれている。月並みな言い方ではあるが、極力感情を抑えた筆致ゆえに、人々の喜びや悲しみが浮かび上がってくる。

『この世には、自分は少しも人の為にならず、人の犠牲や労力だけを思うさま受けて死んでゆくものも多いが、どん助にしろカムローにしろ、また磯吉にしても、自分のことはなるたけ身をちぢめ、ただもう人の為になるようにばかり生まれついて来た人たちなので、こういう人たちの徳がまだ脈々と日本の隅々を貫き流れている間、日本は断じて戦争には負けぬのだと思い、日本という国の人知れぬ成長の源をみるような気がした』

なにかと騒々しい昨今ではあるが、日本を守れと言う人も、戦争反対と言う人も、この本を読んでもういちど自分自身の生き方を振り返ってはどうだろう。
人の為に何かしようと思ったら、自分の都合を勘定に入れちゃいけない。はたして今の日本の賛成/反対はどちらもその心を持っているのか?

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