Archive for the ‘著者’ Category

蔦重の教え

2016-07-18
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●レビュー

この本は、読書普及協会の清水顧問が出版した「魂の読書」の中でも紹介されています。
サラリーマンである55歳の主人公、武村竹男(タケ)が会社から依願退職を命じられ、ヤケ酒を飲みお稲荷さんにオシッコを掛けていた時に、江戸時代にタイムスリップしていまう物語です。

そこで助けてくれたのが、江戸時代の出版業界の破天荒プロデューサー蔦屋重三郎(蔦重)です。
タケは蔦重の仕事を手伝いながら、人間として生きていくための処方を色々な出来事や考えを通じてひとつずつ気付いていきます。
今までの生き方では何が良くなかったのか。
蔦重の魅力ある生き方を目の当たりにして、タケも必死に生きていきます。

人生の「あがり」をどう捉えるか。それを考えさてくれる一冊です。

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三国志1~8巻

2016-07-14
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●レビュー

ご存知、中国の魏呉蜀の三国の争いをそれぞれの立場から話が進む、歴史小説です。
「劉備の桃園の誓い」から、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」までの、人間模様や人に生き死にを、臨場感溢れる表現力で伝えてくれます。

特に、活躍していた武将たちが時とともに老いていき、また夢途中で無念の死を遂げたりと、あらゆるところで人の最期を感じられる、まさに死生観を養う本であるとも言えます。

それぞれがそれぞれの正義で戦い、強さや知略に憧れる、そして人間味のある行動に同感し、または反面教師となる逸話もふんだんに入っており、読み応えも十分です。

歴史が詳しくない方でも、登場人物の多ささえ克服できれば楽しく読める内容です。

著者の吉川氏の熱き思いが、甦ってきます。

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アヴェ・マリアのヴァイオリン

2016-07-12
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●レビュー

14歳の少女がひとつのヴァイオリンとの出会った。

それはアウシュヴィッツの強制収容所で音楽隊だったユダヤ人の少女・ハンナが持っていたものだった。

一丁のヴァイオリンが、戦火をくぐり、数奇な運命とご縁を生み出す。

著者の香川よしこさんもこの小説で不思議なご縁を引き寄せておられます。

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南米「棄民」政策の実像

2016-07-11
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●レビュー

EUからの離脱をした英国ですが、その一因となったのがEUの「移民政策」です。英国民の多くがEU内での移動の自由が英国への移民を増やし、英国民の雇用を圧迫していると考えているようです。

移民は通常、貧しい国から豊かな国に流れるので、EUのなかで比較的経済が安定している国はみな、移民問題に頭を悩ませており、英国に続いて各国で連鎖的に国民投票が行われ、雪崩式にEUが形骸化する可能性もちらほらと指摘されています。

さて、日本もかつては移民大国でした。日本は中南米にむけてたくさんの移民を排出しました。もちろん、大戦前〜大戦中には満蒙にもたくさんの開拓民を送り込みましたが、これは形としては現地においても日本国に統治されており、移民ではなく「植民」です。中南米については、勧誘・教育・送り出しについては国が主導し(実際に受け持ったのは企業)ましたが、現地については国はほとんど関与していません。

もうひとつ忘れていけないのは、移民政策は戦前だけの話ではなく1970年(昭和45年)まで継続されていたことです。敗戦国の国民が異国の地(しかも、南米と言えど戦勝国です)でいかなる苦難の道を歩んだのか。

問題は国はなぜ「移民」という国策を開始し、継続したのか。日本はなぜ、「貧しい国」に移民を送り出したのか。国はなぜ「国策」を優先し、戦前戦後を通して同じ過ちをし続けたのか。それが「移民」ではなく「棄民」と呼ばれるゆえんです。事前調査もいい加減、教育もいい加減、送り込んだら知らんぷり。それが日本の移民政策です。多くの若者たちが、夢のような新天地と言う甘言に乗せられ、現地の人たちも放棄したような荒野ではじめての農業に挑戦し、極貧のなかで挫折して行きました。また、現地の富裕層に雇用され、奴隷同然の扱いを受けたものも少なくありません。

つい50年前まで、日本が国民に対して何をしていたのか。他国に何をしていたのか。そして、その構造は現在においてはたして修正されたのか。我々はそこをきちんと学び、考え、改めていかなければなりません。棄民という言葉を原子力政策と入れ替えれば、現代社会が見えてきます。

また、あわせて「さよなら日本―絵本作家・八島太郎と光子の亡命」晶文社、「棄民たちの戦場―米軍日系人部隊の悲劇」新潮社を読めば、戦前の米国移民についてその一端をかいま見ることが出来ます。

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書斎の鍵

2015-08-10
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●レビュー

この国に生まれたということは、かけがえのない資産なのだと、喜多川先生は書かれていたが、誰もがとうていその恩恵には気づいていまい、と思われる表情である。
もったいないほどの識字率、そしてそれを支えた文化、感受性をも放棄していないだろうか。

人生を作るのは習慣だという。
言葉の習慣、思考の習慣、感じ方の習慣。
文明を越えた尊い習慣に恵まれた私たちは、それだけでもう、まれにみる資産家だ。

果たして文明の利器により、人類は楽になったのであろうか?
携帯電話の普及により、連絡の付かない時間は皆無となり、家電製品の普及は生活形態の複雑化を招いていないか?
身近な例をとれば、お掃除ロボットを買ったはいいが、それがスムーズに動く部屋を目指して、お掃除セミナーを受けると言うもの。なんだかややこしいのである。

電車の中でも、みなさん、とても忙しそうだ。
寸暇を惜しむトークチェックだろうかゲームだろうかスクリーンを見る目はただごとではない。
私が開こうとしている伝記的エッセイよりは余程急を要するようにお見受けした。

それでも、本はいい、と私は思う。
二つも先のドアから入ってきたおじいさんに気づき席を譲ることができるから。
ドアに片方の肩を預けながら、よし!この本も私の書斎入り決定だ。
そんな思いが、この車両にいる誰よりも明るい表情を連れてくる。

書斎という概念を変えてくれたことに、私は何よりもお礼を言いたい。
お風呂にはいるように、本のシャワーを浴びて、きょうも書斎向けの本を探すのだ。

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